技術資料

信号のリターンパス不連続から発生するノイズとその対策

1. リターンパス不連続による放射ノイズ

 リターン電流とは、信号の伝搬に伴い、その近傍に生じる戻り電流のことであり、広がりを持っています。リターンパスとはそのリターン電流のパスを指し、リターンパスが不連続だと、放射ノイズが増加する傾向があります。複数電源のためのスリットや、内層のクリアランスホールがつながって生じるようなスロットがありそれを横断するように配線を配置すると、そうでない場合と比較して多くのノイズが出ます。
 したがって、スリットまたぎの抑制という設計ルールは、優先順位の高いものとなります。

 

図1 リターンパス不連続による放射ノイズ

図1 リターンパス不連続による放射ノイズ

 

 また、主要なノイズ源としてのリターン電流パスの障害としては、先ほどのスリットやスロットのほか、信号ビアも原因となることがあります。信号ビア近辺でリターンパスが無いとノイズ源となり、パッチアンテナのような共振を引き起こし、特定の周波数で強い放射ノイズとなります。

 

図2 リターン電流経路の影響

図2 リターン電流経路の影響

2. リターンパス不連続の対策方法(シングルエンド配線の場合)

 リターンパス不連続の対策としては、信号ビアに対して、GNDビアやパスコンを配置する方法がありますが、全てには実施できないため、シングルエンド配線のクロック信号など、絞って行うのが現実的です。

図3は極端な例ですが、リターンパス用のビアがない場合はクロック周波数(300MHz)の逓倍で反射(S11)が大きく、また放射ノイズも高くなっており、一方で伝送ロス(S21)が当該周波数で悪化しているのがわかります。

 

図3 リターンパス用ビアの効果

図3 リターンパス用ビアの効果

3. リターンパス不連続の対策方法(差動配線の場合)

 一方で、差動信号伝送の場合、高速なためノイズが出そうで気になるところですが、ペアとなる配線がリターンパスになるため、差動配線からのノイズは少ないですし、またスルーホールがあっても同様につき、特に設計上の対策は不要と思われます。

 

図4 差動信号リターンパス用ビアの効果

図4 差動信号リターンパス用ビアの効果

4. まとめ

 リターンパス不連続により放射ノイズが増加することがありますが、スルホールなどでリターンパスを確保することでノイズの低減が可能です。一方で、差動信号伝送の場合は、ペアとなる配線がリターン経パスとなるため、特に設計上の対策は不要となります。

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